百薬:1000年の発酵と感謝が出会う場所

 

百薬 by 徳山鮓

世界に誇れる最古にして最先端の料理法

HOLOLIFE Summit Tokyo 2025が無事終了。 数年にわたる計画は2019年から6年!何百通ものメール、スポンサーとの深夜コール、プロダクションの問題、見積もりや予定変更、登壇者スケジュール… やり遂げました。

…で、タテキ自身へのご褒美は? もちろん、食いしん坊ですから、世界で一番ミシュランレストランが多い東京での「食」しかありません(笑)。 でも、一人で食べる飯よりも一緒に食べる飯の方がいいに決まってます。

HOLOLIFE Japanポッドキャストのサイドキック、愛弓さんと七美さん。 タテキが「バイオハッカーズポッドキャストを手伝ってほしいんだけど」と、まだ構想しかなかったDay 1から信じてくれた二人です。

サミットが始まる前からクリニックツアーで訪れていたThe Hundred Longevity Houseについて何回も外国VIP勢に施設を説明する度に、帰国前にここ来たいなと思っていました。

それが、クリニック9階の百薬(ひゃくやく) by 徳山鮓。 古来から受け継がれてきた日本の発酵技術を極め、洗練させてきたのが滋賀県の余呉湖畔にある徳山鮓の店主・徳山浩明氏。徳山氏は古のエッセンスを現代に蘇らせる発酵料理の名人で、鮒ずしに始まり、鰻、熊などその自然の恵みに満ちた料理は、海外でも高く評価されています。

支えてくれたチーム

愛弓さんは、応援プロデューサーです。彼女は北海道の羅臼(らうす)まで定期的に通って、地域創生プロジェクトにも関わっています。タテキが日本にいる時、浦島太郎状態で迷子になってると、「タテキさん、こっちです」って新幹線のチケットの買い方まで教えてくれたり、ポッドキャストでタテキがマニアックな話をしすぎると絶妙なタイミングでリスナーフレンドリーな方向へ導いてくれる彼女です。

そして七美さん。彼女は浅草でENWA Tokyoを経営してるだけではなく、登山家で社会起業家です。ネパールで日本品種のイチゴを栽培してネパールに雇用を生み出し、サステイナブルな商品を扱うセプルモも運営してます。そんな文化的ブリッジとして、今回のサミットもサポートしてくれました。

スポンサーも会場も何もない、タテキの「想い」だけの時から、海のものか山のものかわからないバイオハッキングコンテンツを一緒に日本へ発信してくれました。

ということでということで、お疲れ様会は百薬に行かせてもらいました。

百薬の哲学

百薬とは、文字通り「食を通して薬を」。 1000年前の保存技術(発酵)をアートの領域まで高めたレジェンド、徳山弘明氏。その徳山氏の監修のもと、佐藤均シェフが料理を創り出します。

発酵ツアーなるものが流行っている日本の旅行業界、さらに日本の発酵技術はバイオハッカーにとって大好物です。更にオープン1年しないで、ミシュラン一つ星獲得となると、次の帰国時にタイミングよく予約が取れる保証はどこにもありません。

明日が帰国日のタテキはサミット開催お疲れ的なノリではなく、勉強させてください!という気持ちで着席。

最後の松茸、そして「おまかせ」が始まった

店に入ると、 ソムリエの方と、佐藤シェフご自身が出迎えてくれました。調理風景が直接見れて、解説が聞けるカウンター席に3人で座りました。

ソムリエにオススメされたので、今夜はおまかせのフルペアリングで。すると シェフが微笑みました。 「今日、今シーズンの松茸、最後かもしれません」

…WHAT?じゃなくて「え!?」

三人で顔を見合わせました。 「今年は夏が暑くて、気温が下がるのも遅かった。質の良い松茸が市場に出回るのは、これで最後になる可能性が高いです」

タテキ達、ラッキーとかじゃない。 祝福されてる(笑)。

お凌ぎ:松茸と和栗の飯蒸し & オレンジワイン

最初のコース。蓋付きの小さなお椀。 もち米の上に松茸、そしてすりおろした和栗をたっぷり乗せています

蓋を一斉に開けと「 うわ、この香り…」

愛弓さんが目を閉じました。「秋だね」「日本だ」 まさにそれ。それタテキのセリフですよ。松茸食べたの何年振りだ?栗の甘い香りが来て、その直後に、あの唯一無二の松茸の香りが鼻から抜けていく。 「すごい贅沢」「香りがすごい」と七美さんも一緒に一発目から3人とも強烈な一撃をいただきました。食レポに格闘技用語は出さないように自粛します。

秋の味覚の王様と女王の共演。もう、言葉になりません。

オレンジワイン(コルテーゼ種 / イタリア・ピエモンテ)

ペアリングはイタリア・ピエモンテのオレンジワイン。皮の成分も抽出しているためオレンジ色がかっており、しっかりとした酸味と凝縮感のある果実味が特徴です。 「ピエモンテはトリュフやキノコの名産地。米や内臓もよく食べる土地柄です。このお皿との繋がりを感じてください」 ソムリエの説明に唸る。ペアリングって、味だけじゃなく「土地」で繋げることもあるんですね。深い。

揚げ物:松茸のフライ

「男性用には、あえて切らずに丸ごと一本揚げました」一方女性陣にはカットして食べやすい大きさへ。 シェフのちょっとした気遣いに脱帽です。

まずは塩とすだちでシンプルに、その後お好みで割り醤油ベースのソースでいただくことを勧められました。その日に入荷した松茸の状態を見て、焼くか揚げるか最高の調理法を決めているそうで、「松茸の声を聞いて」調理法を判断するらしいです。

塩とすだちで、一口。

「うわっ、何だこの弾力!」

外はサクッとしてるのに、中の松茸は信じられない弾力を保ってる。 そして旨味が…凝縮されてる! 「揚げた方がこんなにも旨味が閉じ込められるんだ!ベストな調理法かも」というタテキの正直な感想です。

「旨味がぎゅっと閉じこもったまま」とサイドキックの二人も大興奮。

これにオーストラリアのガメイ種(赤ワイン)を合わせる。ライトだけど、きのこや菌糸系の香りがある。揚げ物の香ばしさとソースの出汁感に、完璧にマッチしてました。

お椀:毛蟹と松茸の寄せ

毛蟹と松茸を寄せた、しんじょうのような一品。仕上げに柚子の香りをまとわせています。 一口食べて、タテキはリスペクトを込めて思わず 「上品な、Umami Bomb(旨味爆弾)」 と、また外人みたいなリアクションをしてしまいました。。でも、爆発的な旨味の塊。愛弓さんと七美さんはもう、美味しすぎて、ただ頷いてました(笑)。

広島の「八反草(はったんそう)」

広島のお米「八反草」で造られた日本酒。お造りのような繊細な料理の旨味や香りを引き立てる、味わいはありながらも主張しすぎないお酒として紹介していただきました。タテキにとっては程よい甘味で、女性陣も飲みやすいと好評でした。米と麹と綺麗な水、世界で類を見ないクリーンなアルコール。バイオハッカーなら日本酒でしょ

お造り:鰆の藁焼きと牡丹海老

お造り:鰆の藁焼きと牡丹海老

福岡・糸島産の「一番手」の鰆(さわら)を藁焼きにしたものと、北海道産の牡丹海老。この時期の鰆は最も美味しく、脂の乗りが18%もあるとのこと。

18%!? マジか。 切り身が分厚い。あり得ない厚さ。 一口。「わぁお…」 脂がとろける。でも、藁焼きのスモーキーな香りが全体を引き締めてる。

「鰆って春の魚じゃ…」と愛弓さんが質問したら、シェフが「いえ、秋から冬が旬です」と。 魚と春で鰆なのになんで?と思いながら、また一つ、日本の食材について勉強させていただきました。ボストンでもSpanいsh Mackerel手に入りますが全く違います(笑)

焼物:鯖のへしこと海苔

焼物:鯖のへしこと海苔

韓国・済州島近海で獲れた鯖と、奈良の海苔を合わせた一品。それぞれが持つ香りと味わいがしっかりと感じられる料理です。

盛り付けの美しさを通り過ぎて、格好よかったです。脂の乗った鯖と風味豊かな海苔の組み合わせを堪能しました。

「白光(びゃっこう)」の別誂

「白光」という日本酒の別誂(特別バージョン)。少し爽やかなタイプで、ブルーチーズのような香りを持ち、へしこのような発酵食品と相性が良いとのことでした。最初は甘めかと思いきや、後味が爽やかでスッキリしていました。

肴:鮒鮓、鹿のコンソメジュレ、ばちこ

鹿のコンソメで作ったジュレ

ばちこ、真鱈の白子の揚げ物

琵琶湖の北、余呉湖のニゴロブナを発酵させた徳山鮓の逸品。ペースト状になっています。鮒鮓。知らない人のために言うと、これは寿司の元祖。何ヶ月、何年も発酵させます。 鹿のジュレと?蜂蜜と?独創的な組み合わせに驚きました。鮒鮓と鹿のジュレという、味の想像が難しい一皿は複雑に重なった風味の後に強い塩気が感じられ、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、タテキは大好きでした。ボストンでは食べられない白子やばちこといった珍味も、大変美味しくいただきました。

そしてペアリングは、フランス・ジュラ地方の「ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)」。 シェリーみたいだけど、もっと繊細。写真撮り忘れました!(泣) ソムリエ曰く、シェリー酒のように産膜酵母を使って熟成させるが、アルコール添加はしないため、より繊細な味わい。ナッツのような香ばしい香りが特徴。この地方はかつて海の底だったため、土壌のミネラル感がワインに反映されており、鮒鮓やばちこのような個性の強い食材と素晴らしい相性を見せるとのことでした。

絶対自分一人では選ばないワインですね。ソムリエさん最高です。

鍋物:月の輪熊と松茸の鍋

鍋物:月の輪熊と松茸の鍋

来ました。メインイベント。 月の輪熊(ツキノワグマ)です」 はい、クマです。

シェフの解説によるとクマ肉は脂身が非常に美味しく、融点が高いのが特徴です。 脂身はコラーゲンのように「ちゅるっとした食感」で、牛肉のようなしつこさが全くありません。とってもジューシーでした。

サイドキックたちも「どんな味するんだろう」と最初は少し不安もあったようですが、一口食べて「美味しい!」「全然臭みない」とその味わいに驚いていました。 脂身とお肉の部分がはっきりと分かれている点や クマが食べるもの(木の実など)によって肉の味が変わるという話題で盛り上がりました。さすが愛弓さん、クマがよく出現する羅臼町に行っているだけあって、自然の恵みの味わい方を知っていますね。

ランブルスコ(スパークリング赤ワイン)

イタリアのエミリア・ロマーニャ州で作られるブドウ品種「ランブルスコ」を使用した、辛口のスパークリング赤ワインです。 通常、日本では甘口が多いランブルスコですが、これは珍しい辛口タイプです。 香りはベリー系よりもザクロのようで、きめ細やかな泡立ちが特徴です。 この地方は生ハムやバルサミコ酢も有名で、食中酒として親しまれています。脂が美味しい珍味をいただく時には最高の相性ですね。

自分たちでは選ばないような素晴らしいお酒との出会いに感動です。

天然鰻の白焼き

焼物:天然鰻の白焼き

福井県の三方五湖で獲れた天然のうなぎです。 皮目を「ガキガキでパリパリに」なるまで焼き上げています。食べた瞬間に「うま!」と感嘆の声を上げてしまいました。金を払えばなんでも手に入るNYでも日本のウナギは食べられないと思います。

パリパリとした食感と、添えられたご飯の美味しさに感動しました。

卵かけご飯と鰹節

食事:卵かけご飯と鰹節

「よろしかったら卵かけご飯もいかがですか?」と鰻を食べた後にシェフに言われ、即答で「お願いします」。お米を炊いている土鍋は、雲井窯という特別な窯元のもので、火にかけても一切泡が漏れないように作られています。 鰹節は鹿児島の指宿産で、削りたてを提供しています。 削ってから30分以内に食べないと酸化して酸味が出たり、食感がパリッとしてしまうため、今食べることでとろけるような柔らかさを味わえます。 卵はあえて普通の卵を使用。 卵の味が強すぎると他の食材が負けてしまうため、全体のバランスを考えてのことだそうです。ちなみにタテキはボストンで雲井窯使っています。

お米、鰹節、卵、これ以上足し算も引き算も要りません。卵と米と、削りたての鰹節。 一口。 まず、鼻から抜ける香りがヤバい。そして、口の中で…味がレイヤーになってる。 鰹節が来て、卵が来て、米が来る。混ざってない。完璧な順番で、味が分離して現れる。

「シェフ、これ計算してますよね?最初と最後の味が離れて出てきますよ」と食いしんぼうのタテキが分かったかのような質問をすると シェフが微笑みました。

その後、黒文字茶の爽やかな香りと味わいで口の中をリフレッシュさせて話が進むと、シェフは大の格闘技ファンだということがわかり、格闘技トークになってしまいました。

杏仁豆腐と日本蜜蜂の蜂蜜

甘味:杏仁豆腐と日本蜜蜂の蜂蜜

デザートは杏仁豆腐の上に、茨城県産の日本古来の品種である「日本ミツバチ」の蜂蜜をかけています。 スーパーで売られている西洋ミツバチの蜂蜜とは違い、加熱処理をしていない生蜂蜜のため、酵素が生きており、酸味や香りの複雑さが全く異なります。 あえて少し結晶化させて、食感も楽しめるようにしているそうです。

こちらもバイオハッカークオリティですね。コールドプレスされて生成される蜂蜜は生きた酵素、花粉、抗酸化作用が含まれた成分が豊富なので、まさに百薬のデザートという感じでした。

貴腐ワイン(ソーヴィニヨン・ブラン種 / スペイン)

これに合わせるのがスペインの貴腐ワイン。 でもタテキは思いました。デザートワインだけでなく、これはシングルモルトのウイスキーにも合うぞって。 ただ甘いだけじゃない。体験でした。

スペインのソーヴィニヨン・ブランで作られた珍しい甘口のデザートワインです。 蜂蜜や熟したフルーツのような香りがあり、デザートの蜂蜜との相性を考えて選ばれています。

コースを通して、シェフとソムリエの食材や調理法、器に対する深いこだわりが語られ、三人で熱心に耳を傾け、一皿一皿を五感で深く味わいました。特に、クマ肉や鮒鮓といった珍しい食材、そして松茸や鰻といった旬の味覚を最高の形で提供されたことに、幸せと感謝を感じました。食事とそれに合わせるお酒とのマリアージュも見事で、「おまかせならではの体験」として心から楽しむことができました。

バイオハッカー的にまとめると、すべての料理は「保存」と「発酵」…自然から得たものを、「時間」と「手間」をかけて、さらに価値あるものへと変革させる技術でした。 佐藤シェフが、徳山氏のもとで発酵を学び、その土地の食材を、その意味を理解できる人々に届ける。それこそが『百薬』。

でも、タテキにとって「本当の薬」は、「感謝」でした。夢の実現とイベント成功を、それを可能にしてくれた人たちと分かち合うこと。

THE HUNDREDは長寿(Longevity)のクラブです。 百薬の食事は「薬」です。発酵、質の高い食材、すべてが細胞レベルで健康をサポートするとここで言わせてください。

でも、タテキが学んだこと。 長寿とは、何を食べるか、だけじゃない。 「誰と」「どのように」食べるか。

それがすべてだと思いました。

ありがとう

 

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